
今回はこんな疑問に答えます。
・受験生向け:2冊の問題集の違い
・2つの問題集に向いている人をタイプ別に紹介
・2冊に合わなかった人におすすめな英語参考書の紹介
僕は受験時代、慶應に何とか合格しましたが、現役時代は予備校にあまり行かなかったので独習用の教材選びには苦労しました。
その中でも、英語の長文問題集選びには苦労したのを覚えています。参考書って実際使ってみないと自分に合ってるかわからないですよね。
ちなみに僕は2冊とも買い、吟味した結果基礎英語長文問題精講を使うようになりました。
ただ、僕の周囲ではやっておきたい500派の人も多く、買ったあと意見をいろいろと聞いたので、今回は自分の意見+周囲の意見をまとめて2冊の比較をしたいと思います。ちなみに、僕みたいに1つの参考書が終わっていないのに2冊も参考書を買うのはあんまりよくないのでおすすめしません。(やっておきたい500は結局やりませんでした)
英語長文問題精講シリーズとやっておきたいシリーズの特徴
まずはどちらが自分にあっているか決める前に、長い目で使えるようそれぞれのシリーズの特徴を見ておきましょう
①英語長文問題精講シリーズ
英語長文問題シリーズは旺文社から発刊されています。英語長文問題精講シリーズで有名なのは以下の3冊です
・入門英語長文問題精講 改訂版 センターレベル
・基礎英語長文問題精講
・英語長文問題精講
ちなみに、表紙はこんな感じです↓↓↓個人的に表紙のデザインと質感がものすごい好きでした。
この3冊ともサイズは文庫本のように小さく、紙の手触りも独特です。自分はそこが他の参考書と違って好きでしたが、字が小さいのが苦手な人は向いていないかもしれません。
また今回紹介する基礎英語長文問題精講の一個下にはセンターレベルの「入門英語長文問題精講」が、発展版には「英語長文問題精講」があります。
以下、3冊の問題数と平均字数、個人的に使ってみて感じる使い始める前に達成しておくべきセンター試験の点数を載せます
平均字数 | 問題数 | (個人的)センター試験得点目安 | |
入門英語長文問題精講 | 400語前後 | 20 | 100点以上 |
基礎英語長文問題精講 | 400語前後 | 50 | 150点以上 |
英語長文問題精講 | 400語~600語 | 60 | 180点以上 |
入門英語長文問題精講は解説が豊富なものの、問題数がかなり少ないのかなと感じます。
入門英語長文問題精講は頭のいい高校1年生なら余裕で解ける内容であり、問題収録数も20問と少ないので、受験生が始めるなら「基礎英語長文問題精講」が良いです。
受験勉強を始めたころの僕の周りで使っている人はほとんどいませんでした。これをやるならば文法問題集と単語帳を重点的に回してから基礎英語長文問題精講かやっておきたい500に移ったほうがいいですね。
逆に発展版の英語長文問題精講は相当難しいです。始める段階でセンター英語でほぼ満点を取れる実力がいります。
僕は基礎英語長文問題精講を3周した後に英語長文問題精講を使いましたが、英語長文問題精講では普通の単語帳や文法帳に出てこないような単語・文法がバンバン出てくるので、1周するのにかなり骨を折りました。
英語長文問題精講についてもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→【6step】英語長文問題精講で長文読解力を上げるたった1つの使い方
また、シリーズ全体に言えるのは、問題が難しくなっても字数はかなり少ないことです。全てが400字から600字で、上に行けば行くほど濃密な英文が出てきます。物足りないという見方もできますが自分は難しい英文だけが読めるのでコスパがいいと思っていました。
このように長文ありきではない、難しい単語や文法の解読に焦点を当てているところがやっておきたいシリーズとの大きな違いでしょう。
さらに、この3冊では解説の豊富さもだいぶ違います。解説の豊富さを記号で表すならば
くらい解説の豊富さが違いますね。これは問題数の数に反比例しています。入門はとにかく解説が多いです。
3冊とも問題数と解説の量を合わせ、同じ厚さの本になっています。
②やっておきたい英語長文シリーズ
やっておきたいシリーズは計4冊あります。
・やっておきたい英語長文300
・やっておきたい英語長文500
・やっておきたい英語長文700
・やっておきたい英語長文1000
表紙はほとんど同じなので500のみ掲載します。
やっておきたい英語長文シリーズの特徴として、その名の通りタイトルの数字が増えるに従って字数と語彙・文法が難しくなっていきます。英語長文問題精講シリーズとの一番の違いですね
5冊の大体のレベルですが、こんな感じです。(センターはまた僕の個人的感覚です)
長文のレベル | センター得点目安 | |
300 | 日東駒専 | 120 |
500 | march・関関同立 | 140 |
700 | 東京一工・早慶上智 | 180 |
1000 | 特定の大学 | 180 |
300字は入門英語長文問題精講ほどではありませんが、比較的簡単です。センターよりちょっと難しい程度なので、河合全国模試で英語の偏差値が55以上あるならやらなくていいでしょう。
500が大体marchレベル、700が早慶上智以上といった感じです。やっておきたいシリーズをやりこんでいくなら、この2冊は必ずやりましょう。
ただし、1000語を使うのはあまりおすすめできません
なぜなら、1000は字数が長いだけで700と語彙・文法のレベルはそこまで変わらないからです。英文のレベルがほとんど同じなので、700語まで読める人は特に訓練をしなくても1000語は読めるようになります。
実際、僕の友達も長文対策は700で終わりにし、あとは過去問に回す人が多かったです。1000語まで買った人は「これいらなかったかも・・・」といって途中から過去問に変更していく人がほとんどでした。
ただ、東工大・上智の一部の問題は1500語近くの超長文を出してくるので、それらの大学を受ける人は使ってみてもいいかもしれませんね。
基礎英語長文問題精講・やっておきたい500、2冊の違い
さて、ここまで2シリーズの違いを述べてきましたが、高3の受験生が長文独習を始めるならば圧倒的に「基礎英語長文問題精講」か「やっておきたい英語長文500」から始めるのがおすすめです。それでは2冊の比較をしていきましょう。
難易度
基礎英語長文問題精講の難易度

難易度は基礎英語長文問題精講のほうがはるかに高いです。基礎英語長文問題精講の50問のうち、最初の10問くらいはやっておきたい500と同じくらいですが、すぐに難しくなっていきます。
特に半分の30問目を過ぎたあたりから知らない単語が一気に増えましたね。1周目をやり終えて最初の長文を解きなおした時、読みにくさが相当上がっていたことに驚きました。
ちなみに、僕は基礎英語長文問題精講だけを使って現役で東大理3に合格した人を知っています。その人は最後までこの本をひたすらやって普通に受かりました。
そして僕も黄色の英語長文問題精講を終えて過去問に移った時、もしかしたら青い基礎のほうだけで十分だったかもしれないと思いました。それだけこの問題集の語彙・文法の網羅性は高く、この1冊で早慶・東京一工は合格できます。
ただし、それだけやりこむのは難しいということもお忘れなく・・・。
やっておきたい英語長文500の難易度

対して、やっておきたい500はmarchを目指すなら十分、といえる問題集でしょう。徹底的にやりこめば早慶の入試にも手が出せるくらいだと思います。問題の難易度は問題数が少ないこともあって基礎英語長文問題精講ほど上昇しません。
読んでいくうちに力をつけていくというより、ある程度単語・文法力のある人が英語長文に慣れていくというスタイルで設計されたのではないでしょうか。
やっておきたい500を使う場合、早慶の英語長文で合格レベルを目指すなら700をやる前提で実行計画を立てる必要があります。僕の周りのやっておきたい500派のほとんどの人が500→700というルートをたどっていたので、2冊合わせて使うのがいいのではないでしょうか
問題数の違い
基礎英語長文問題精講・・・50題
やっておきたい500・・・20題
やっておきたい700が15題で、500と合わせても35題少ないことを考えると基礎英語長文問題精講のほうがコスパはいいと思います。僕は英語長文問題精講の60題と合わせて110題の長文を読み込みました。この差は大きいですね。
一問の平均語数
やっておきたい500・・・500語程度
基礎英語長文問題精講・・・500語程度
変わらないですね。ただ、同じ500語前後でも基礎英語長文問題精講のほうが後半は700並に難しくなります。
デザイン
これは意外と参考書選びで大事だったりするので詳しく書きます。何でも見た目って大事ですよ。
まず、基礎英語長文問題精講の大きさですが意外と小さいです。実物を見ると拍子抜けするかもしれません。そして結構厚い。
僕の友達の女の子はコンパクトなところが可愛いということで使っていました。小説サイズでほかの長文問題集と一線を画しているところは僕も大好きです。
サイズがとても小さいのでテーブルが小さいカフェとかで勉強する場合でも頑張れば開けます。
ただ、1ページの大きさが小さいので書き込める余白がほとんどないというのがちょっと残念なところです。
一方でやっておきたいシリーズは全てを通して“白いノート”という感じがします。問題数が多くないので基礎英語長文問題精講の半分以下の厚さです。
大きさも基礎英語長文問題精講より一回り大きく、B5ノートくらいのサイズですね。
余白が結構あるので、書き込みがしやすいというのがいいところだと思います。
シンプルなデザインが好きな人は凄く好みだと思いますよ。
問題形式
これも大きな違いなのですが、基礎英語長文問題精講は結構変な問題が出てきます。というのも、異常に和訳と発音が多い。買う前はここまで変な問題があるとは思いませんでした。
例えば、1つの英語長文で多いときは和訳が5本くらい出てきます。結構苦痛でしたね。
ただ、この和訳は散々やったのでばりばり力が付きました。英語を的確な日本語に訳す力はどんな問題にも応用が利くので、入試でマークしか出ない人でも和訳に挑戦したほうがいいと思います。
しかし、発音はあんまり時間の費用対効果を感じられませんでした。結局発音はセンター以外どの大学でも出ませんでしたね。
反対にやっておきたいシリーズは空欄補充、語文整序、内容の正誤確認などザ・王道という感じの問題ばかりでした。実際の入試問題とほとんど変わりません。
実践感覚で長文読解力をつけたい!という人はやっておきたいのほうがおススメです。
解説の仕方
解説の豊富さでは基礎英語長文問題精講のほうに軍配が上がります。
というのも、「やっておきたい」のほうは解答+全訳と、簡単な構文解説なのに対し、基礎英語長文問題精講のほうは重要類題までついてきます。
ただ、基礎英語長文問題精講のアフターケアが凄すぎるだけで、他の長文問題集と比べればやっておきたいでも解説は十分です。むしろやっておきたいはなるべく無駄な解説を削いでいる感じがするので、そっちのほうが合う人は多いかもしれません。
2種類の参考書のおすすめの使い方4選
2種類の参考書を志望大学、やり終えるまでの時間を基準にして4パターンに分けてみたいと思います。
①やっておきたい500→過去問
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十分にやり終えて過去問に取り組むまでに1か月ほどしかかからないコスパのかなりいいルートです。500は1ヶ月もすれば2周はでき、すぐに過去問に取り組むことができます。入試本番まであまり時間がないのならばいきなり過去問に入ってもいいかもしれませんね。
・第一志望がmarchレベル
・部活が秋まであり、夏休みは受験勉強に専念できる時間が少ない人
②やっておきたい500→700→過去問
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恐らく世の中の慶應受験生の大半が通るであろうルートです。①のように部活が忙しい人でも、夏休みに時間をかけて500をやりこめるくらい時間のある人ならこっちのほうがおススメです。
ちなみに、この参考書の使い方は僕の周囲では最大のマジョリティーでした。私立国立どこでも対応できます。marchレベルを目指す人も時間があるのならば700まで解きましょう。こちらの過去問までにかかる時間は1ヶ月半~2ヶ月ほどです
・志望校がmarch以上
・英語にある程度自信があるか、予備校で英語の講座を取っている人
・夏休みから受験勉強を本格化させる人
③基礎英語長文問題精講→過去問
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このルートは中々いないルートですね。僕の周囲で基礎英語長文問題精講だけを使っている人はほとんど見ませんでした。
唯一知ってる中でこういう使い方をしていたのは例の理3君くらいです。時間のない国立勢、医学部勢にはおすすめかもしれません。
・志望校のレベルが早慶以上
・部活引退から入試本番まで時間がないけど、英語はかなり得意な人
④基礎英語長文問題精講→英語長文問題精講→過去問
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これは僕の一番おススメのルートです。基礎英語長文問題精講と英語長文問題精講を合わせることでかなり力が付きます。過去問に取り組むまでにかかる期間は4ヶ月近くと一番長いですが、引退が早くじっくりと英語に取り組みたい人にはおすすめの使い方です。
・夏休み前から受験に専念できる時間のある現役生
・志望校が早慶以上・医学部など最難関レベル
・英語にいまいち自信がなく、基礎的な部分からしっかりレベルを上げたい受験生
僕が受験勉強を始めたころは単語と文法に結構な抜けがあり、長文も解きつつそれらも穴埋めしていきたいなーと思っていました。部活の引退が5月と早かったので、時間をたっぷり使って英語力上昇に力を注ぎましたね。
この2つの参考書が合わなかった人におすすめな英語参考書
この2冊の問題集がどうもあわないなあ、という人は下の参考書のどれかに取り組んでみてください
ポレポレ英文読解プロセス50
英文の読み方を基本から丁寧に教えてくれる代々木ライブラリーのポレポレ英文読解プロセス50です。1つの英文を相当細かいところまで解説しているので、これをやりつつやっておきたいに取り組むといいかもしれません。
ただ、基礎英語長文問題精講と組み合わせてやると解説が多すぎて結構うんざりするかもしれないので気を付けてください
英文読解の透視図
これも周囲でかなり評判のいい参考書でした。単語力はある一方で文法問題が苦手な帰国子女におすすめです。
過去問
高校1・2年のころからかなり単語と文法をやりこんでいて、もうレベル的には十分な気がする人は、夏休みからでも早めに過去問に入ってしまったほうがいいかもしれません。
過去問はさかのぼればいくらでも出てくるので、ネタ切れになることはありません。ガンガン解きましょう
自分に合った長文問題集はきっと見つかる
というわけで、今回は以上です。長文問題はどこの入試でも避けられないので、早いうちからしっかり対策を立てておきましょう。
買うときはこの記事だけでなく実際に本屋で参考書を手にとって比較してみてくださいね!
ここまで読んでいただきありがとうございました!